15. 取り付け(設置方法)
PDCE避雷球を設置する場合、大きく分けて次の3通りの取付け方がある。
- ビルの屋上、屋根の上などに通常の避雷針と同様に支持管の上に取付ける
- 独立避雷針として、コンクリート電柱や鉄塔の先に支持管を取付け、そこに取付ける
- 恒久施設でなく、イベント用に短期間の運用を目的とした可搬型も可能
どの場合にも、被保護物よりも、最低2m以上高い位置に取付ける。従来の避雷針に比べると水平投影面積が大きく、重量も大きいので取り付ける支持管もそれなりの強度が必要である。高所に取り付けるので、風圧計算を行い必要な支持管の強度を求める。これには、取付場所の「地表面粗度区分」「取付ける都市」「取付の高さ」なども要素になる。
支持管の端には直径で約10cmのフランジを溶接し、そのフランジにPDCEを乗せる。この部分の接触で接地と導通させるので、フランジの表面には塗装せずに、表面処理は溶融亜鉛メッキするかステンレス製の支持管を用いる。アースは、この支持管に接続する。支持管をコンクリート柱などに取り付けた独立避雷針の場合には、引下げ導線として用いるオニヨリ線と支持管を接続し、接地する。 接地抵抗は10オーム以下が望ましいが、JIS規格に応じた接地抵抗を用意する。
既存の避雷針との交換であるが、通常避雷針の先端部分(突針)に比べ、水平投影面積も大きく、重量も大きいため、そのままの交換ができるか否かは現状の突針の状況による。強度的には、日本中の殆どの場所で直径が76mm程度の支持管であればPDCEを支えることができるが、その場所の地表面粗度区分や取付位置の高さなどで風圧、強度計算を行って支持管、その他の強度を決定する。
避雷針の交換における手続きであるが、建物の新築、移築、増築、改築には届け出が必要であるが避雷針の交換に届け出は必要ないとのことを横浜市の建築指導課殿で確認している。危険物製造所に於いては、指定数量の10倍を超えている場合には避雷針の交換にも消防局への届け出が必要。建屋の上の避雷針でなく、独立避雷針として建てる場合には、建屋の周囲の空地の状況による(横浜市消防局)。
工事の流れ(一般的な例)
- 施工業者による現地調査および設計
- 施工業者にて取り付け部に合わせた形状で支持管を製作
- 旧避雷針を支持管ごとクレーンで吊上げて撤去
- 支持管にPDCE避雷球を地上で取り付け
- クレーン等で引き揚げ
- ボルトで建物と締結
- 引下げ導線へ端子で接続
先端の通常避雷針だけをPDCE避雷球に交換を予定していても、長い年月屋外で使用された(避雷針+支持管)を見ると、支持管の錆に驚き、やはり全体を交換しようという事になる場合が多い。最初から、支持管までの交換をお勧めしたい。
その他、移動可能な基盤の上に簡単に建柱できる機構を用意し、少人数で短時間に避雷設備の準備を御コンマ得る装置などもあり、特許出願を完了している。