「ゴルフ場の広さは東京ドーム約23個分。 雷雲接近時は14分以内で避難いただけるよう、 PDCEによる防雷施設を設けています」 株式会社アコーディア・ゴルフ様
国内最大級のゴルフ場運営会社であるアコーディア・ゴルフが保有するコースは173に上る。2024年には全コース・全ホールで雷雲接近時の避難をシミュレーションし、退避勧告から最長14分以内にプレイヤーが乗用カートで避難できるよう、PDCEによる防雷施設を83カ所新設した。カートには「防雷施設案内」を掲示し、カートナビで雷注意、避難勧告を発信する。アコーディア・ゴルフの危機管理に対する姿勢「お客さまの安心安全を確保するのがリーディングカンパニーとしての役目」に、ゴルファーからの信頼は高まっています。
導入の経緯などをお伺いしました。
【導入製品:PDCE-Baby(83基)】
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『THE ROLEX WORLD’S TOP 1000 GOLFCOURSES』(2010年)にも掲載された成田ゴルフ倶楽部(千葉県)
[株式会社アコーディア・ゴルフ]
ゴルフ場の運営受託事業で2002年に創業。年齢や性別に関係なく誰もが気軽に楽しめるスポーツ・レジャーとしてのゴルフ環境の提供を目指している。早くからIT化を進め、自動チェックイン・チェックアウトは2019年から導入。2024年12月現在、保有するゴルフコース数173は、国内第1位、世界第2位。入場者数は870万人に上る(2020年12月現在)。 https://www.accordiagolf.com/corp/
最上のサービスは“安全”
落雷事故は起きていない。しかし、いずれ起こりうる
これまでに弊社のゴルフ場で落雷事故はありません。しかし、気象が過激化する中、遠からず事故が起きる可能性がある。私たちは、楽しく遊びに来られたお客さまが怪我をする、事故に遭うというのは絶対に避けたい。だから、“安全”に投資します。
笑顔の接客、コースメンテナンス、レストランメニューの充実などゴルフ場のサービスはさまざまですが、最上のサービスは安全の確保です。
全コースで雷雲接近時の避難をシミュレーション
標準的な18ホールのゴルフ場の広さはだいたい東京ドーム23個分くらい。これは東京ディズニーランドとディズニーシーを足した大きさと同じくらいです。そんな広大な野外施設で、ラウンド中のお客さまが雷雲接近時に速やかに避難できるのか。全コースでシミュレーションしたところ、クラブハウスや従来の避雷小屋まで遠かったり、定員オーバーで人が溢れたりするエリアが36のゴルフ場で見つかりました。そういったところに、新たに防雷施設を設けることにしたのです。
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避雷エリアには、カートで速やかに避難
弊社の場合、全てのゴルフ場で乗用カートでのプレーをお楽しみいただいています。カートは時速16㎞程度で移動できますので、歩行避難に比べ、より早くより安全に避難いただくことが可能となります。
カートでの避難にマッチした、PDCEの保護エリア
雷を誘引する避雷針のそばには避難できない
乗用カートのまま避難していただく防雷施設に従来の避雷針を立てては、雷を誘引して、電流を地に這わせてしまう。そんな場所には危なくて避難していただけません。しかしPDCEなら、そもそも落雷を誘引しないのですから、乗用カートでの避難とマッチすると考えました。
ゴルフ場ならではのPDCE機種選定
PDCEによる防雷施設の新設を決めましたが、設置したい場所は重機が進入できなかったり、進入によって芝生を傷めたりするリスクがある。このような事情を、エイトエージェンシー様(※PDCE販売店)が、簡便な設置ができる軽量支柱を考案し解決してくれました。支柱の耐荷重から逆算し、2kgの軽量機種「PDCE-Baby」を採用。Babyを8mの高さに設置すれば、1つの防雷施設にカートを最大6、7台停めることが可能になります。
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83基が導入されたPDCE-Baby
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全ゴルフ場で避難の流れをマニュアル化
新設した防雷施設は83カ所
新たに83カ所の防雷施設を設け、どのホールにいても14分以内に避難できるようにしました。設置作業は2024年春に開始し、雷が多くなる前の6月上旬に整備を完了させました。
また、広大なゴルフ場で逃げるタイミングを誤ったり、避難場所が分からないといったことがないよう、カートナビで雷警報を発令するとともに、カートの天井部に「防雷施設案内」を掲示しました。雷警報は、1段階目で避難の可能性を予告。2段階目で避難勧告を出します。また「防雷施設案内」には、避難の経路を具体的に明記していますので、図に従って避難いただけば安心です。
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オーク・ヒルズカントリークラブ(千葉県)に新設された防雷エリア
『落雷事故防止マニュアル』で判断を瞬時に
これらの防雷対策をイザというとき活用できるよう、アコーディア共通の『落雷事故防止マニュアル』を完備しています。避難基準や手順を明文化することで、お客さまの安全確保がより迅速になりました。
お客さまは、「アコーディアさんは、安全のためにはコストをかけるのだね」と評価してくださっています。
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『落雷事故防止マニュアル』に基づくカート内の工夫
PDCE83基を一気に導入した理由
東京オリンピックやトーナメントでの実績
PDCEを信頼した大きな理由は、東京オリパラやZOZO CHAMPIONSHIP(PGA TOURトーナメント)など、唯一無二の大会で使われていることです。オリンピックでは32会場で85基が設置されていたそうですね。野外ライブ会場での実績など、それらが導入の追い風になりました。
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ZOZO CHAMPIONSHIPに導入されたPDCE避雷球。高所作業車に設置された
エイトエージェンシーの対応力
弊社として防雷施設の設計、施工は初めてのことでしたが、エイトエージェンシーの岡谷様は、我々と一緒に創り上げていく気概をお持ちでした。全コースの防雷対策をほぼ1年、毎日のように共に考え、現地に足を運んでくれましたから。
当初は6mのポールを立て、その上にPDCEを設置する計画でしたが、カートをゆったり停車させるために防雷施設を広げたいとお願いした時は、打ち込み杭の製造メーカーと設計をやり直してくれました。フレキシブルに対応してくれて、本当に感謝しています。
落雷抑制システムズへのリクエスト
今後はより軽量で、6m程度の高さでも防雷エリアが広い製品を開発してほしいですね。安心の10年保証を謳っていられますが、10年先は弊社のスタッフが大きく入れ替わっているでしょう。シリアルナンバーで管理いただき、10年目に保守点検の案内をいただけると助かります。
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平均700㎡と広大なグリーンが広がるオーク・ヒルズカントリークラブ
(画像提供:(株)アコーディア・ゴルフ様、(株)エイトエージェンシー様/取材日:2025.01.15)
2025.01.27 プレスリリース