「雷を誘導する家に、
家族を住まわせることはできなかった」
ゲリラ豪雨中の落雷で、“夢の自宅”が全損。1年半かけ再建した新居にPDCE避雷針を導入いただいた音楽家の山田さま(川越市)にお聞きしました。
[山田隆広氏]ピアニスト・キーボーディスト・作曲家。埼玉県立川越高校卒業。国立音楽大学アドヴァンストピアノコース修了。川越市クラシック演奏家協会会長。株式会社山田隆広ピアノオフィス代表取締役社長
落雷で全損した自宅、1年半がかりの再建
2018年夏。家族がくつろぐ自宅の3階に落雷
ゲリラ豪雨で周囲の音が聞こえないほどの夜、3階リビングで過ごしていた私たち家族でしたが、どこかに雷が落ちたような音が聞こえました。ふと配電盤に目をやると、炎が出ている! 私は消火器で鎮火しようとしましたが、炎は大きくなる一方。妻は119番通報していましたので、すぐ近くの消防署から1分で消防士さんたちが駆けつけてくれました。その時すでに、屋根全体が炎に包まれていたそうです。そう、先ほどの雷がうちの屋根を直撃していました。
屋根への消火活動で、家は全損
屋根に広がる炎を消防車から消すには、壁や天井を壊しながら放水する必要があります。 うちは3階建てでしたので、2階建ての隣家には延焼せずに済みましたが、消火活動によって自宅は全損。建屋はもちろん、楽器も、生活の道具も、小学生の息子が大事にしているものも、すべて水損により「火災ごみ」となってしまったのです。
警察も出てきて消火後の検証が行われました。本当に落雷による火災なのかを近所に聞き込みされていました。
屋根に落ちた雷は、浴室に貫通していたことが分かりました。落雷の瞬間、私は浴室から1mほどの場所にいましたから、頭を直撃されていたら…。すぐそばで小学生の息子も家庭用ゲーム機で遊んでいましたが感電していたらと思うとゾッとします。
20歳から思い描いた理想を形にした家
全損した家は、まだ築7年でした。総3階で250㎡。コンサートホールやレッスン室を備えた自宅を建てるのが父と私の夢で、それが形になり、活動が軌道に乗ったころでした。
折れてゲームオーバーは嫌だった
落雷を境に、住む場所もない私たち家族が頼りにしたのは損害保険でしたが、「火災ごみ」の廃棄処分だけでも業者に委託すれば1,500万円の見積。保険金だけで生活再建できるはずはありません。しかし、これまで音楽で生きてきて、落雷のせいで折れてゲームオーバーは嫌だった。燃えた家や家具の解体や搬出を自分で始めたら、周囲の方たちが手伝ってくれた。私たち家族を長期で居候させてくださったり、多くの方々が支えてくれました。
前を向いて動いていると、私の持ち前の「根性」がむくむくと頭をもたげてきて、「立ち上がるなら前以上のものを!もっといいものを!!」と思えたのです。
「避雷針に雷を落としてアースに誘導」、に違和感
家を建てたときは、雷のことなど頭になかった
もちろん、落雷の後は「どうしてうちの家に?」という口惜しさがありました。3階建てだったから? 屋根の形が悪かったのか? 近隣のアンテナなどが影響したのか? など自分なりに調べてみました。原因が確定できるわけではありませんでしたが、少なくとも家を建てるとき“「雷」対策を全く考えていなかった”ことは確かでした。
「避雷針 戸建」で検索しまくる
自宅の再建に向け動き始めた2018年当時、落雷対策を打ち出しているハウスメーカーは見つけられず、自分で落雷対策を調べました。しかしネット検索で出てくるのは、避雷針で雷を呼び込みアースに誘導して流す方法ばかり。雷の威力をまざまざと思い知らされた私には、あれほどの雷電流を落として受け止められるとは思えない、という違和感がありました。
再建した自宅にPDCE‐babyを設置
「雷の目標物にしない」という発想に共感
調べ続けると、それまで聞いたこともなかった落雷抑制型というPDCE避雷針にたどり着きました。雷の目標物にしないという落雷への新しい対処は、私が求めていた解決策でした! 再建する家には絶対に付けようと、取扱店代理店のエイトエージェンシーに連絡をしました。
戸建の設置事例が少なかったが
担当してくれたエイトエージェンシーの八里さんが、保護角から計算して最軽量のPDCE-babyでカバーできると勧めてくれました。ただ、まだ戸建へ取り付けた事例が少なく、天井高を確保するため三角に計画していた新しい家の瓦屋根にどう取り付けるのか、心配ではありました。隣家との距離が近いため、2㎏と軽量とはいえ、もし外れたら大変なことになります。 八里さんと、PDCEを数多く手がけてきた取付工事店の方たちで、支線の太さや角度、金具やねじの種類をさまざまに検討し提案してくれました。こちらが疑問を挟むと、粘り強く解決策を示してくれ、家が立ち上がる前の、まだ足場が組んである間に設置工事を行いました。
落雷対策が第一。美観はその次でよかった
再建する家は、「前よりもいいものを」と意匠にこだわったものです。柱や壁材などは自分でイタリアから取り寄せもしました。そんな新築のてっぺんに球形の避雷針を据え付けていいの?と思われるかもしれませんが、落雷で家を失ってから1年半の苦労は語りつくせないほどで、落雷に備えていない家は二度とご免でした。
PDCE設置から3年目に点検を実施
昨年、支線やねじに緩みがないかなどを点検してもらいました。落雷に遭ってから6年になりますが、安心して暮らしています。 音楽仲間にも「家を建てるなら雷の対策は必須だよ」と啓蒙しています。家事の火元が台所のボヤなら、その周辺の消火で家は残りますが、屋根に落ちてくる雷は、家を丸ごと水損させるのですから。
(取材日:2024.06.19)