「PDCEにして14年。落雷事故はゼロ!」
弊社PDCEの設置第1号は、ブロンズ立像で世界一の高さを誇る牛久大仏さま。1993年の建立からおよそ3年ごとに直撃雷を受けてきた大仏さまは、そのありがたいお姿に何ら変わることなく、けれども2010年の被雷で内部の電子機器が故障。エレベーター、通信機器などがストップしたのでした。
当時は未知の物体だったPDCEを果敢に導入していただいた、事業本部事務局 統括局長 前川さまにお聞きしました。
【導入製品:PDCE-Magnum】
大仏さま自体が大きな避雷針
高さ120mの青銅製立像
茨城は、浄土真宗の開祖 親鸞聖人が関東における布教活動で20年間過ごされた場所です。東本願寺ではその地に極楽浄土を再現した施設を作ることにしました。1980年の始めごろです。
土地の広さは東京ドーム9個分。阿弥陀さまは、私たちにとって偉大な存在であるという意味を込めて、そのスケールにふさわしい阿弥陀さまは、高さ1mでも10mでもない。当時の先端技術で100mくらいは実現できるということで、それならば、阿弥陀さまの12の光明に因んで120mを目指すことになりました。施工は川田工業さまで、中央に鉄骨の主架構を組み上げ、厚さ6mmの青銅板6,000枚を下地鉄骨に取り付けています。構想から10年をかけ建立しました。
体内はエレベーターで地上85mまで一気に上がることができます。ご本尊の中から参拝できる、世界でも珍しい阿弥陀さまです。
近隣の工場は落雷が無くなったというが…
茨城県で最も高い建物は、茨城県庁舎で116m。それより高い金属製の大仏さまは、よく雷に見舞われました。実は、金属製の大仏さま自体がアースを接地した避雷針なのです。昔は周辺の工場に雷が落ちていたそうですが、大仏さまが建って以降は落雷しなくなったと聞きます。
1993年の建立から17年間で、実に5回もの直撃雷(※)を受けました。それでも、建立した当時は、大仏さまが避雷針となって雷を誘導し、地中に雷伝流を逃す方法で難を逃れていました。しかし5回目の落雷で、エレベーターの制御、電話やインターネットなどの通信、防犯カメラや火災報知器が壊れてしまったのです。雷電流が、大仏さまから電線などを伝って事務所に入り込んだのです。
(※)「直撃雷」とは、直接対象物に命中する雷のこと。雷の電流が電源線などの回線から侵入したものは「誘導雷」
落雷で被害を受けるのは、弱電設備
復旧までの1週間、参拝客を受け入れられず
大仏さまは全体が避雷針となっているため、落雷があっても大仏体内にいる人には全く影響はなく心配いりません。ただ、弱電設備が故障すると、復旧までの期間、参拝客を受け入れることはできません。
雷を呼ぶ避雷針は、建造物の外側は守りますが、中の電子機器は雷電流でやられます。直撃雷の大きな電流が通過したら、ヒューズの取り換えや再起動では済まない。電話は1週間ストップし事務所は混乱しました。
もう雷を呼ぶのは嫌だ
5回目の落雷で、私たちはもうこりごりでした。事務所のみんなで「雷に近づかれたくない」「雷を呼ばない方法はないの?」と対策を調べたのですが、打つ手は出てこず。頭を抱えていたところ、[落雷抑制システムズ]という名刺を持った松本さんが「落雷で困ってますでしょ」と訪ねてきたのです。今から思えば、仏さまが遣わせてくれたのでしょう。雷を呼び込まないPDCEの理屈を聞いて、待ってました! と膝を打ちました。
PDCEは、賭けだった
「本当に効くのか?」「大仏さまの頭にそんなものを?」を説き伏せ
PDCEなんて怪しい、という声は少なからずありました。松本さんが創業した間もないころで、前例がない。もちろん自然相手に100%は防げないでしょう。しかし、雷を呼び込まない新しい仕組みに賭けるしかない。
とにかく、これまでのやり方ではダメだということは分かっていましたので、関係者を説得して回りました。取り付け位置についても、大仏さまの頭の上が最も効果的だということで、みなさんにご納得いただきました。目立たないよう支持棒の色を何種類か松本さんに試してもらいましたが、地上から大仏さまを見上げれば、色の違いは区別がつかず、何より背景の空の色がさまざまに変化するため、通常の支持菅で取り付けてもらいました。
何もなかったところに何かを加えようとすると違和感を抱かれるものですが、取りつけた後に違和感や美観を損なうといったことをおっしゃる方はおられません。
PDCEを設置して14年。落雷事故はゼロに!
メディアを通じて認知度高まる
2010年にPDCEを付けてから、雷は一度も落ちていません。これまでPDCEを検討なさっている多くの会社さまから問い合わせがありましたが、正直に、付けて良かったとお答えしています。
また当苑ではメディアの取材を年間100件ほど受けますが、PDCEがテレビに取り上げられることもしばしばとあります。大仏さまの頭についているのが新型の避雷針だとご存じの参拝者さまも増えている印象です。
定期点検や、さらなる製品開発に期待
3年ごとに定期点検を受けていますが、今後も継続をお願いします。また近年は自然災害が激甚化していますから、松本さんには時代に合った落雷対策をどんどん発明してほしい。私どもも参拝者の皆さまの安全対策を進化させていきますから!
(取材日:2024.07.01)
川田工業株式会社さまレポートP.15もご参照ください
https://www.kawada.co.jp/technology/gihou/pdf/vol36/3601_03_01P.pdf