「退職後も、
生徒たちを守る設備を残したかった」
カトリックの名門校 晃華学園(東京都, 富永倫彦学園長)に弊社製品が設置されました。導入の検討から、特別予算取り、設置工事まで見守ったのが、管理課の石見正人氏です。消防設備士の資格を持ち、当校の営繕を担っています。
「自然災害は保険でカバーできる部分もありますが、復旧までの実害、そして何より、生徒にもしものことがあったら取り返しがつかない」と、周囲の理解を取り付けた石見氏にお話を伺いました。
【導入製品:PDCE-Magnum(3基)】
[晃華学園]
設立母体は、1816年にフランスで創立された「汚れなきマリア修道会」。幼稚園から高等学校までの一貫教育校として、世界のマリアニスト・スクール共通の教育理念を掲げ、カトリック精神に基づく全人教育を実践している。
前職で、数々の落雷現場を目の当たりに
火災報知器に携わること20年
当校で勤務する以前は、火災報知器の販売代理店に勤務し、火災報知システムの保守を行っていました。落雷現場の復旧は、何度も経験しています。
火災報知器は、火災を感知する回線と火災を知らせるベル回線が各施設の全室に張り巡らさせています。施設に雷が直撃した場合はもちろん、近所の避雷針に落雷した場合も、雷電流が地表を伝わり、電気回線経由で基盤回路を破壊します。
誘導雷でも、基盤回路が壊れる
誘導雷(※)の電流は、直撃雷より弱く、雷プロテクトや雷サージアブソーバーといった雷サージ対策品を取り付けておけば大丈夫だと思われていますが、そんなことはありません。雷の電流が回路を何度か通過するうちに、基盤回路は壊れます。
基盤回路が壊れたら大ごとです。火災報知器が働かないのですから。消防署に届け出が必要な火災報知器の交換は、着工と復旧は当日中というのが原則。しかし、突然壊れた場合、代替品の取り寄せに1、2カ月は掛かりました。当時は、消防署に事情を説明し、「速やかに復旧するように」という指導でしたが、今は設備士に求められる心構えがより厳しくなっています。在庫の取り寄せにも、もっと日数が掛かるでしょう。
わたしは、避雷針で雷を拾いこむのは問題だと思いました。雷を誘導し、落ちるのを手助けしているのですから。
(※) 「誘導雷」とは、雷の電流が電源線などの回線から侵入したもの。直撃雷」とは、直接対象物に命中する雷のこと。
教育現場の雷対策に「待ったなし」
保険でカバーしきれない「実害」
学校で仕事をするようになり、隣地の松の木に落雷したとか、近隣施設の火災報知器が誘導雷で壊れた話を耳にしましたし、誘導雷でサーバーが立ち上がらないこともありました。
保険に入っていれば物損被害+お見舞金も出るからいいのでは、という考えもあります。しかし、物損以上の「実害」が現場をストップさせます。ICT社会にあって、パソコン周りや通信、内線電話、エアコンなど、その復旧にかける労力や時間は、保険でカバーできるものではないでしょう。
「学校は、生徒の安全が第一」
今、授業でパソコンは使いますし、教室にWi-Fiも飛んでいます。そして何より、生徒たちに万が一のことがあっては、絶対にいけないのです。実は当校は、妻の母校で、義父も長らく勤めさせていただきました。歴史と、愛着のあるこの学校が、なにかの事故で存続が危うくなるようなことは回避しなければならい。
わたしは定年後の再任用で、雇用契約は長くて65歳までなので、先は見えています。しかし、だからこそ、落雷事故がないように手を打っておきたいと思いました。
落ちるのを手助けする避雷針に代わるもの
落ちるのを手助けする避雷針に代わる、雷を近づけない方策については、PDCEが理屈に適っていると考えました。雷雲の下部と同じマイナスに帯電するPDCEの上部は、マイナス同士で雷電流を引き込まない仕組み。わたしは京王線沿線の住人で、線路上にはたくさんのPDCEが見えます。大手私鉄さんが取り入れている点でも、信頼できました。
落雷抑制システムズの販売店に問い合わせたところ、早々に概算設計と見積が出ました。喫緊の課題である落雷対策について、富永学園長に特別予算の計上を打診しました。当校の学園長は、常々「生徒の安全が第一」とおっしゃっている方。新しい落雷対策の必要性について、直近の理事会に諮ってくださいました。
工事は予想していたより短期間で完了
販売店に 施工会社も加わり、PDCEの大型3本で学園内を全体的に保護する設計が完成しました。学校の設備工事はだいたい1週間単位のことが多いのですが、3日間で取り付けられるとのことで、日程を確保しやすかったですね。1台は屋根の施工でしたので、クレーンを配置して行われました。 夏の雷が多発する前の6月上旬に取付が完了し、ホッとしています。子どもたちには、「雷をよけてくれるんだよ、もう安心してね」と話しています。
(取材日:2024.07.16)