[Vol.8 太陽光発電]太陽光一筋44年 スマートソーラー株式会社様

「プロポーザルでは、
PDCEの落雷対策が入っていることを
“売り”にしてきました」
 45年前、京セラで稲森和夫社長から「ソーラーの宣教師になれ」とミッションを授けられた手塚博文氏。2007年に興したスマートソーラー株式会社は、蓄電池付き太陽光発電システムのパイオニアといえる存在だ。太陽光発電事業の総発電量は400MW。原子力発電1基分の約2/5に相当する*。
「ニーズは自ら創り出すもの。それが真のニーズであれば市場は自ずと広がっていく」という手塚氏が、落雷対策として注目してくださったのが弊社のPDCEだ。2013年の初導入から10余年。取締役の森氏にお話を伺いました。 *原発1基の発電量を1GW(1,000MW)と換算

【導入製品:PDCE-Magnum(16基)、PDCE-Junior(86基)】

熊本山鹿ソーラーパークの一面に広がる太陽光発電パネルと、パワコンを守るPDCE避雷球
[スマートソーラー株式会社]
太陽光発電の弱点である「雲の陰りによる日射変動」と「夜間発電ができない」という課題を、ローコストの蓄電池付太陽光発電システムの開発により解決を図る。同システムの導入先は、一般家庭から公共産業用施設、メガソーラー発電所用蓄電池システムと幅広い。2024年より高圧の系統蓄電*事業を開始。蓄電+夜間の売電で、化石電力より安く安定した電力の安定供給に貢献している。*系統(送配電網)に接続した蓄電池のこと       https://www.smartsolar.co.jp/
レイアウトが美しいスマートソーラー社の太陽光発電施設
レイアウトが美しいスマートソーラー社の太陽光発電施設。ロスが少なく発電効率が良い設計により、おのずとレイアウトがすっきりするという

太陽光一筋44年
太陽電池関連を中心に150件以上の知財を取得
 1980年に弊社代表の手塚が「ソーラーの宣教師になれ」と稲盛社長から任せられた当時、1kWの発電システムの建設コストは数千万円と非常に高額なものでした。以来45年に渡り手塚は安く安定した太陽光発電の技術開発や、衛星通信の基地、交通標識といった用途開発を進めてきました。取得した特許や実用新案商標は150件を超えています。
東日本大震災で30億以上の借金
 遡ること1996年。手塚は(株)京セラソーラーコーポレーションを創業し、その後、弊社の前身であるソーラーシリコンテクノロジー(株)を木更津に興します。主な事業は太陽電池の原料となる球状シリコンの製造と、太陽光発電システムの開発です。それが2011年の東日本大震災でソーラーグレードのポリシリコン原料の設備が壊れ、30億円以上の借金を背負います。
 しかし、明かりの消えた3.11の夜、弊社が設備を納入した小学校だけ電灯が明るく光っていた。手塚はこの光景を見て、蓄電池付き太陽光発電による電力の安定供給をミッションに据えたのです。
 2012年から始まったFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)は、再起の追い風となりました。
平均4%、スマートソーラー社は2%以下
 その後、弊社では数百のシステムを開発・設置してきましたが、この業界を開拓してきたものとして妥協のない仕事を誇っています。
 例えば、メガソーラーのレイアウトは20回以上書き直します。数千枚もの太陽光パネルをつなぐケーブルは数kmに及ぶこともあり、電圧降下は平均4%ですが、弊社では2%以下になるよう設計しています。ロスが少ない、発電効率の良い設計をすると、おのずと見た目のレイアウトもすっきりします。


“落とす避雷針”でパワコンは守れない
太陽光発電の心臓PCS(パワーコンディショナ)
 発電施設では、太陽光パネルに落雷してもアースしているので問題ありません。しかし、パネルで生じる電流は[直流]なので、複数のパネルをまとめてPCS(パワーコンディショナ)を設置し[交流]に変換する必要があります。
 普通の避雷針で雷を誘導すると、アースに流れるまでにこのPCSに混触が発生します。混触とは、低圧電路側に高圧が発生する事象で、機器が破壊されたり火災になったりする恐れがあります。落雷でやられたら、発電所そのものがストップします。

これはすごいぞ! 使ってみないと分かんないけど
 関西東邦産業(現:(株)KTS)の営業の方からPDCEを薦めていただき、2013年、弊社として1基目のPDCEを高知県東洋町のソーラーパークに導入するわけですが、その時の手塚と私のやり取りは、

スマートソーラー株式会社 代表取締役の手塚氏

「これはすごいぞ! 雷を寄せ付けないよ」
「見たこともないですね」
「使ってみないと分かんないけど、よくねぇか」
と。
 手塚は、研究のための研究開発ではなく“人の役に立つための研究開発”を標榜する人間です。PDCEの原理に共鳴するものがあったのかもしれません。

10年で100基のPDCEを設置
落雷していないという実績が、全国で積み上る
 PDCEを設置してみると、雷で悪さをされることがなくなり、それ以降、参加するプロポーザルではPDCEで落雷対策をしていることを“売り”にしてきました。熊本県山鹿の45haという大規模な丘陵地に開発した34MWの発電所「ソーラーパークC」には、26基のPDCE-Juniorを設置しました。北海道の新ひだか町にはMagnum 1基とJuniorを16基。消防の変電設備検査で、「これはなんですか?!」と驚かれていますが、その都度詳しく説明していますよ(笑)。
 全国の施設で落雷していない。いやもうPDCEの効力を信じていますからね。比較する物がない、弊社ではオンリーワンの存在です。

-スマートソーラー社が導入したPDCE避雷球-

設置年月施設件名PDCE避雷球数量
2013.11月太陽光
発電所
高知県東洋町ソーラーシステムPDCE-Senior3
2013.12月京都府京丹後ソーラーシステムPDCE-Senior2
2014.3月茨城県常陸大宮ソーラーパークPDCE-Senior2
2014.5月滋賀県高島市ソーラーパークPDCE-Senior1
2015.2月栃木県矢板CソーラーパークPDCE-Senior2
2015.7月福岡県嘉穂桂川ソーラーパークPDCE-Senior2
2015.9月栃木県那須那珂川ソーラーパークPDCE-Junior2
2016.3月愛知県常滑ソーラーパークPDCE-Senior2
2017.4月香川県さぬき市御田神辺池ソーラー発電所PDCE-Junior1
2017.4月北海道新ひだか町MS発電所PDCE-Junior16
2017.4月北海道新ひだか町MS発電所PDCE-Magnum1
2017.8月岩手県一関ソーラーパークPDCE-Junior1
2018.2月熊本山鹿ソーラーパークAPDCE-Junior1
2018.4月熊本山鹿ソーラーパークBPDCE-Junior1
2018.8月静岡県函南町ソーラーパークPDCE-Junior1
2019.7月熊本県山鹿(C)ソーラーパークPDCE-Junior26
2019.7月北海道紋別ソーラーパークPDCE-Junior7
2019.8月北海道釧路ソーラーパークPDCE-Junior8
2019.8月北海道釧路ソーラーパークPDCE-Magnum1
2020.4月福島矢吹ソーラーパークPDCE-Junior5
2020.9月北海道新千歳川ソーラーパークPDCE-Junior3
2021.4月熊本山鹿ソーラーパークDPDCE-Junior10
2023.1月神奈川県赤田ソーラーパークPDCE-Junior2
2024.11月蓄電所千葉・かずさ 蓄電所PDCE-Junior1
2024.12月栃木・野木町 蓄電所PDCE-Junior1
合 計102
広大な釧路ソーラーパークDEサイト全体。おびただしい数のソーラーパネルと、落雷から発電所を守るPDCE避雷球
広大な釧路ソーラーパークDEサイト全体(上)と
PCSそばに設置されたPDCE
太陽光発電設備のパワコンを落雷から守るPDCE避雷球
お話を聞かせてくださった取締役の森氏。
プロジェクトマネージャーとして、1年の1/3は現場で指揮に当たっている

発電所から蓄電所へ

2030年までに1GWの蓄電事業を計画

 各地の太陽光発電所では電力会社から出力制御が急増し、年間100日以上、止められるケースも出ています。FITが満了を迎えつつある現在、弊社の稼ぎ頭は需給調整市場の差益と、電力の小売りです。2年前から高圧の系統蓄電所をいくつか仕込んできましたが、今年中に木更津と栃木県野木町の2カ所でスタートします。今後は更に蓄電事業を拡大させますが、御社の商品は今後とも弊社の発電所とセットで採用させていただきます。

(取材日:2024.11.29)
画像提供:スマートトーラー(株)

お話を聞かせてくださった取締役の森氏。
プロジェクトマネージャーとして、1年の1/3は現場で指揮に当たっている

太陽光発電施設で落雷対策が必要な理由

太陽光パネルで作る電気は【直流】。
産業界や家庭で使うことができるのは【交流】=電力会社が買い上げる電気も交流。
よって太陽光発電施設は、直流電気を交流に変換するパワコンの設置が必須だ。
このパワコン、雷電流が通過すると壊れる恐れがある。
それはつまり、発電所の機能停止だ。