[Vol.7  生産設備]“理にかなった原理である”と判断-DOWAハイテック様

「PDCEの効果は本当か、
関係者の中でも不安はあった。

最終的に、“理にかなった原理である”と、
経営陣から採用の経営判断がなされた」

DOWAハイテック株式会社様

太陽電池やボタン電池の材料となる高機能粉体で世界トップクラスのシェアを誇るDOWAハイテック。ケミカル品の生産とめっき加工を主軸に、DOWAホールディングスの一大生産拠点である埼玉・本庄地区に工場を構える。ここは雷が多い地域といわれており、当社でも以前から時折、軽微な機器故障が発生していたが、2013年と2017年に操業停止となる落雷被害があった。
PDCE導入について、建設保全グループのご担当者さまにお話し頂きました。

【導入製品:PDCE-Magnum(9基)、PDCE-Junior(4基)】

画像)Googleマップを基にPDCE設置施設を追記加工

[DOWAハイテック株式会社]
140年の歴史を持ち、鉱山・製錬事業から、国内有数の非鉄金属メーカーとして躍進してきたDOWAグループの中核企業。資本金450百万円、従業員数 約280名。製錬事業で培われた独自の技術力とノウハウを武器に、環境リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理の5つのビジネスを展開する。

利根川沿いにある工場の敷地面積は101,044㎡(30,619坪)、東京ドーム2個分に相当する。
対岸は群馬県で、右手奥は赤城山

2017年夏、広範囲の制御機器故障

数千万円の被害
 もともと雷害の多い地域という感覚はありましたが、2013年の雷で柱上開閉器が全損、2017年には広範囲で制御機器が故障しました。
 2017年の際は、夕方帰り支度をしていたところ、私の携帯電話に次々と「設備がうまく動いていない」「止まってしまった」という連絡が入りました。あまりにも広範囲で、工場の東半分に相当します。社内にいる10名以上の電気関係者が調べ回りましたが、落雷で機器が炭化したような跡もない。夜間の調査は限界があるため翌朝から調査を再開し、機器の外観に損傷が見られなかったため、雷に直撃されたのではなく近隣の落雷による「誘導雷」だと判断しました。
 とにかく丸1日がかりで不具合のある機器を交換しました。その間、操業はストップ。被害額は数千万円と大きなものでした。

誘導雷の侵入経路が多すぎる
 誘導雷の対策には、 “SPD(サージ防護デバイス)”を全ての侵入経路となる電線、通信線、アンテナなどに取り付ける必要があるそうですが、弊社の場合、センサーまで含めると数百単位の経路があります。全てに個別対応品を取り付けることは不可能で、また数百の経路に優先順位をつけることもできません。

雷が近づけば、稼働停止の措置を取る工場もあるが
 弊社のグループ会社でも、瞬停に弱い製品を生産する工場では、雷雲が近づくと機器を止めているところもあります。例えば金属の圧延をするラインでは、瞬停により製品が切断された場合、大事故にもなりかねません。他社様でも食品工場などは製品がダメになるため、稼働を止めるのかもしれませんね。弊社のプロセス製造は、製品単位で区切り、でき上れば装置を停止するバッチプロセス。ラインが完結しているため、瞬停してもタイムロスだけです。そのため、「稼働自体を止める」落雷対策以外に何かないかと探しました。

「予防的でリスクの発生を減らす見込みがある点で優れる」

(株)関電工の営業担当者と雑談で
 抜本的な解決策が見つからない、役員からは対応が求められる。そんな中、弊社とお取引のある関電工の方と雑談中に雷で参ったとお話したところ、
「本当かどうか分からないけど、こんなものもあります」と渡されたパンフレットが、落雷抑制システムズのPDCEに関するものでした。
 私個人的には、
 「ホントですか?」
 と思いましたが(笑)、信頼関係にある関電工の方が持っていた情報でしたから、上司に報告しました。

瞬く間に役員に上申され
 社長に届くまで、あっという間でした。役員らの見解は、「落雷対策なので目的は落雷による機器故障を防ぎ、操業影響や環境影響の機会を減らすことであるが、PDCEでは人の安全という副次効果が期待できる。一般的な対策に比べ、予防的でリスクの発生を減らす見込みがある点で優れている」というものでした。
 ただし、その効果は本当か、関係者の中でも少なからず不安はあったようです。最終的には、 技術に通じる当時の社長が、「シンプルに、理にかなった原理だ」と、PDCE採用の経営判断がなされました。2018年から段階的に導入していくことで、効果確認とリスク分散をし、導入することになりました。

(左から)M棟、電気室、危険物倉庫

(上から)M棟、電気室、危険物倉庫

(左から)R棟、ケミカル6号棟、タンク群

(上から)R棟、ケミカル6号棟、タンク群

(左から)ケミカル2号棟、2020年に新設のケミカル8号棟

(上から)ケミカル2号棟、2020年に新設のケミカル8号棟

30,000坪の工場全体をカバーするよう増設

2022年夏、再び誘導雷で軽微な故障が発生
 2018年夏、最も保護範囲の広いPDCE-Magnumを中心に計9基を既存施設に設置しました。2020年のケミカル8号棟の新設に際しては、当初からMagnumを計画に入れました。
 設置後は雷による小さな被害も発生しませんでした。しかし2022年夏、それまでの5年間で最も本庄地域に雷が多かった日に、監視カメラやエアコン、放送機器といった機器の故障が発生しました。これも雷が命中して燃えたのではなく、「誘導雷」によるものと判断。被害額は以前の被害の10分の1にも満たない額でした。今年の夏(※2024年)も毎夕のように雷鳴が轟いていましたが、被害は出ていません。

保護が薄いと思われる場所に増設
2023年には人の往来が多い食堂付近と駐輪場付近にそれぞれ1基ずつ、今年は駐車場を保護できるよう1基を増設しました。保護範囲を広くし、少なくとも「直撃雷」からは工場全体をカバーできるようにしました。

 2018年以降の雷のデータを検証してみると、発生はしていても実際の被害はない。体感的にも減った気がします。ただ「PDCEのせいで落ちない」とは立証できないですよね。実績が最優先ですので、今後も落ちないことに期待しています。

食堂棟や駐輪場、駐車場にも増設

落雷抑制システムズへの要望

万が一、直撃雷が発生した時のサポートを
 この装置は、直撃雷を100%抑制できるわけではないと聞いています。1,000回防いでも1回落ちたら、原因を確認するために御社に相談することになると思います。そんなときに、例えば、設置した機器の異常があったのか、雷のエネルギーが想定外だったのか、定量的に判断できる情報提供や、できれば御社主導で原因解明する体制があれば「嬉しさ」が高まります。

(取材日:2024.12.10)
画像提供:株式会社 高文
(PDCE販売店)