落雷による風車の火災
欧州では洋上風力発電の活用が進んでいますが、日本でも同じように使えるかというと、欧州のやり方をそのまま持ち込めばいいというわけではありません。欧州は日本よりも高緯度で、そもそも雷が少ない地域です。
特に冬季の日本海沿岸における落雷のエネルギーは世界でも破格で、風力発電の停止原因として落雷の占める割合が非常に高くなっています。
落雷対策は、風力発電の安定稼働に必須です。
風力発電/風車での落雷対策の難しさ
風力発電に雷が落ちてしまう原因は何でしょうか?
その大きな原因は、風力発電の羽の部分であるブレードの先端からお迎え放電が発生し、落雷につながってしまうという点です。つまりお迎え放電発生の原因である地面からの電流を流しづらくするということが大切になります。
従来の雷対策は、高い建物の上部に避雷針を設け、雷が発生する際には避雷針に落とすことで、周囲への被害を抑えるという方法ですが、風力発電の場合、風を受けやすくする環境下に設置していることもあり、代わりに雷を受けてくれる高い建物が周囲にありません。雷を代わりに受けてもらうためだけに、風力発電よりも高い鉄塔を立てその先端に避雷針を設置するというのも経済的には難しいところです。
なので、なるべく雷を受けないために風力発電の設備自体に対策を施す必要が出てきます。落雷抑制システムズでは、弊社が取り扱うPDCE避雷球の活用も含め、下記のような対策を提案しています。
- ブレードはそのままで、ハブ内部にキャパシタを挿入
- ブレード自体をキャパシタ構造にする
- ブレード内で雷電流を熱変換する
- ブレードの翼端に翼端装備型PDCEを装着する
翼端装備型PDCE
風車は100m超に及ぶものなど大型化しており、ブレードが被害に遭いやすいという報告があります(「電気学会技術報告」第1501号 2020年11月)。ブレードが壊れると修理費用が数百万円と高額になる以上に、平均風速が7m/秒になる日本海でのブレード交換には多大な費用が必要です。稼働できない修繕期間の損失も甚大です。日本海沿岸に風力発電設備が増える中、弊社では、効果のある雷対策の仕組み「風車ブレード用落雷抑制装置」を提案しています。
日本では2020年12月に特許化(特許7187091)、米国、中国に続き、2024年8月には下記の18カ国で欧州特許が有効となっています。
・個別に有効化:スペイン
・欧州単一特許:ドイツ、フランス、デンマーク、オランダ、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、エストニア、フィンランド、イタリア、リトアニア、ルクセンブルク、ラトビア、マルタ、ポルトガル、スウェーデン、スロベニア